不動産業で独立するには?年収・開業方法・リスクについても解説

不動産業で独立するには?年収・開業方法・リスクについても解説

作成日時: 2025.06.11 更新日時: 2025.06.23
  • コラム

FINSTAR AGENT編集部

不動産業界は、独立開業する人が多い業界として知られています。実際、年間1万社ほどの新しい不動産会社が設立されており、「ゆくゆくは独立したい」と考えている方も多いのではないでしょうか。

しかし、同時に「本当に稼げるのか?」「自分に向いているのか?」「リスクはないのか?」といった疑問や不安を抱えている方も少なくないでしょう。

そこでこの記事では、年収の実態や必要な資金、独立するメリット・デメリットなどを紹介します。具体的な開業方法やリスク回避のポイントなど実践的な内容にも触れているので、不動産業での独立を検討している方はぜひ参考にしてください。

不動産業で独立するとどれくらい稼げる?

不動産業で独立するとどれくらい稼げる?

不動産業での独立は、成果次第で高収入を狙える分野です。実際、1人で開業して年収500万円〜1,000万円以上を達成している人も少なくありません。特に都心部の物件や商業用不動産を扱う場合、1件あたりの成約報酬が高額になるため、少ない契約数でも大きな収入につながります。

たとえば、月に2件の売買仲介を成約し、1件あたりの仲介手数料が100万円だった場合、年間で2,400万円の売上となります。ここから事務所運営費や広告費などを差し引いても、年収1,000万円を超えることは十分可能です。

具体的な仲介手数料の計算方法を見てみましょう。売買仲介の場合、仲介手数料は物件価格の3%+6万円(税別)が上限となります。例えば、3,000万円のマンションを仲介した場合、96万円の手数料を受け取ることができます。これは一般的なサラリーマンの月給数ヶ月分に相当する金額です。

一方で、賃貸仲介や不動産管理をメインにした場合は、成約単価は下がるものの、ストック型の収益が見込める点が特徴です。安定した賃料収入や管理費による継続収入により、長期的な安定経営を実現しているケースもあります。

不動産業で独立した人の売り上げに差が出る要因

不動産業で独立した人の売り上げに差が出る要因

不動産業で独立した場合、年収500万円〜1,000万円以上を達成できるケースも珍しくはありません。しかし、同じような業態・規模でも、以下のような要因によって収入に大きな差が生まれることがあります。

  • 扱う物件の種類
  • 地域性(エリアの特性)
  • 営業力・クロージングスキルの有無
  • 顧客ネットワークの有無
  • 広告戦略・集客チャネルの多様性
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    ここでは、特に差が出やすい代表的な要因について、それぞれ解説します。

    ①扱う物件の種類

    賃貸物件を主に扱うか、売買物件に特化するかで、1件あたりの収益は大きく異なります。売買仲介は1件あたりの手数料が高いため、大きな契約を1つ取るだけで数十万〜百万円単位の収入になります。商業用不動産や土地取引はさらに高単価になる傾向があります。

    ②地域性(エリアの特性)

    都心部など不動産の流通が活発なエリアでは契約数が見込め、物件価格も高いため手数料収入も大きくなります。一方で、地方や郊外では取引単価が低めで、競争も異なるため、営業戦略の立て方を工夫する必要があります。

    ③営業力・クロージングスキルの有無

    契約までの提案力や信頼関係の構築力は、不動産ビジネスにおいて極めて重要です。競合が多い中で契約を勝ち取るためには、物件知識だけでなく「この人から買いたい」と思わせる営業力が問われます。

    ④顧客ネットワークの有無

    独立前に培った人脈や紹介ルートがあるかどうかで、スタート時の売り上げは大きく変わります。法人営業が得意な人は企業のテナント需要を掘り起こしたり、個人客との関係が強ければ住宅購入のニーズに応えたりすることでき、より大きな売り上げが見込めます。

    ⑤広告戦略・集客チャネルの多様性

    ポータルサイト、SNS、チラシ、紹介など、集客の仕組みをどれだけ持っているかも、大きな差になります。Webサイトの有無、SEOの工夫、LINEやInstagramなどの活用法によって、月々の問合せ数が変わり、結果的に契約数・年収にも影響します。

    不動産業での独立に必要な資金や資格は?

    不動産業での独立に必要な資金や資格は?

    不動産で独立するには、資金面だけでなく、法律上必要な資格や手続きについても理解しておく必要があります。ここでは、開業にかかる初期費用やランニングコスト、そして取得が求められる資格・免許について詳しく見ていきましょう。

    資金・ランニングコスト

    不動産で独立するには、事務所の開設費用や宅建業免許の取得にかかる費用など、ある程度の初期投資が必要です。おおよその初期費用は50万〜200万円程度が一般的とされています。

    具体的な内訳としては、以下のような項目が挙げられます。

  • 事務所の賃料・保証金(立地や広さによって大きく変動)
  • 宅建業免許の申請費用(個人・法人で異なる)
  • 保証協会への加入費(約60万円〜、分割払いも可能)
  • 名刺、ホームページ、パンフレットなどの広報・営業ツール作成費用
  • 開業届や法人口座開設などの諸手続き費
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    開業後はさらに、毎月のランニングコスト(運営費用)として以下が発生します。

  • ポータルサイトやSNS広告などの集客コスト
  • 通信費・水道光熱費
  • 会計・法務・ITサポートなどの外注費
  • 保険・交通費・交際費
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    なお、営業活動においては移動が多くなるため、車両の維持費やガソリン代、物件案内に伴う資料印刷費なども考慮する必要があります。

    無理なく継続できる経営のためには、初期費用だけでなく「月々どれだけの費用がかかるのか」を把握し、売上目標と照らし合わせた事業計画を立てておくことが非常に重要です。

    資格・免許

    不動産取引を行うには「宅地建物取引士(宅建士)」の資格が不可欠です。宅建士は不動産売買や賃貸契約の重要事項説明を行うための国家資格であり、宅建業を営むには、事務所ごとに5人に1人以上の割合で専任の宅建士を設置する義務があります。

    さらに、宅地建物取引業を営むには「宅地建物取引業免許(宅建業免許)」が必要です。免許は「都道府県知事免許」または「国土交通大臣免許」となり、営業所の所在地や数に応じて区分されます。申請には、事務所の確保や専任の宅建士の配置、資金の要件などがあり、法人でも個人でも申請可能です。

    このほか、取り扱う業態やビジネスモデルによっては、「賃貸不動産経営管理士」や「管理業務主任者」のような資格が求められる場合があります。

    不動産業で独立するメリット

    不動産業で独立するメリット

    不動産業で独立することには、会社員では得られない多くのメリットがあります。収入の上限がなく、自由な働き方ができるほか、在庫を持たないビジネスモデルであることもメリットです。以下では、代表的なメリットについて具体的に見ていきましょう。

    ①売り上げの上限がない

    不動産仲介業は、成果報酬型のビジネスモデルであるため、売上に上限がありません。自分の営業活動が契約に直結し、売上・収入にダイレクトに反映されるのが最大の魅力です。たとえば、都心部の高額物件を取り扱う場合は、1件の売買契約で100万円以上の仲介手数料が発生することもあり、月に数件の成約でも十分に高収入が見込めます。

    また、売買に限らず、収益物件の仲介や不動産投資家向けの案件、法人向けテナント仲介などを扱うことで、さらに大きな報酬を得るチャンスも広がります。取引単価が高くなるほど、同じ労力でも報酬が増える構造のため、ターゲットの選定や戦略次第で収入は青天井です。

    会社員のように固定給や歩合率に縛られず、「自分の裁量でどこまでも収入を伸ばせる」という自由度は、不動産独立ならではの強みと言えるでしょう。

    ②自由に働ける

    勤務時間や働く場所の制約を受けない自由な働き方が実現できる点も、不動産業で独立する大きなメリットのひとつです。会社員のように決まった時間に出社する必要がなく、朝から内見を設定したり、午後から顧客との打ち合わせを入れたりと、自分の裁量でスケジュールを組むことができます。

    また、働く場所についても自由度が高く、固定のオフィスを持たずに自宅やコワーキングスペースを拠点に活動することも可能です。近年ではリモート内見やオンライン契約などの環境が整ってきているため、デジタルツールを活用すれば柔軟なワークスタイルを実現できます。

    人間関係のストレスから解放されるのも魅力のひとつです。会社組織にありがちな上下関係や無駄な会議、人間関係の煩わしさから離れ、自分の価値観に基づいて顧客と接することができるため、仕事に対する充実感も得やすくなります。

    ③在庫を持つ必要がない

    不動産仲介業は、製品や商品などの在庫を自社で保有する必要がないため、在庫リスクを抱えることなくビジネスを展開できる点が大きな特徴です。物件そのものは売主や貸主が保有しており、仲介業者はその取引をサポートする立場にあるため、初期投資を大幅に抑えることが可能です。

    例えば、飲食業や小売業では仕入れや商品管理に多額の費用と労力がかかるのに対し、不動産仲介では主なコストは広告・広報・人件費などに集中します。これにより、経営資源を効率的に営業活動やサービス向上に振り向けることができます。

    また、在庫が不要ということは、急な市場変動による在庫の値下がりリスクや、不良在庫の発生といったトラブルも回避できるという意味でも、大きな経営メリットです。小規模からでもスタートしやすく、リスクを最小限に抑えながらスピーディーに事業を立ち上げることができます。

    不動産業で独立するデメリット

    不動産業で独立するデメリット

    独立には自由や収益の可能性がある一方で、避けられないデメリットや課題も存在します。事前にそれらを理解し、適切に対策を立てておくことが、長く安定した経営につながります。以下では、不動産業で独立する際に直面しやすい主なデメリットを解説します。

    ①売り上げに波がある

    不動産仲介業は完全歩合制に近い報酬体系のため、収入は成約件数に大きく左右されます。そのため、毎月安定した収入を確保するのは容易ではありません。特に開業初期は営業基盤が整っておらず、顧客数も限られるため、収入が不安定になりやすいのです。

    また、不動産市場には繁忙期(春や秋)と閑散期(夏や冬)があり、季節要因によって問合せや成約数が大きく変動する傾向があります。景気動向や金利の変化、不動産価格の上下によっても市場が大きく揺れるため、時には数ヶ月連続で成約が取れないこともあり得ます。

    このような売上の波に備えるには、営業チャネルの分散、賃貸・売買・管理など複数の収益源の確保、固定費の抑制、そして一定の生活費をカバーできる蓄えを準備しておくことが重要です。売上ゼロの月にも耐えられる経営体制を整えておくことで、安定した経営に近づけるでしょう。

    ②営業や経理など対応すべき業務が増える

    独立後は、不動産仲介という本業に加えて、営業活動、広告出稿、Web集客、顧客管理、契約書類の作成、重要事項説明、法務対応、経理処理、税務対策、確定申告など、多岐にわたる業務を一人でこなす必要があります。これまで会社が分担してくれていた業務がすべて自分の責任になるため、業務の全体像を把握し、優先順位をつけて動くマルチタスク力が求められます。

    また、外注することで一部の負担を軽減することも可能ですが、その分コストが発生します。税理士や行政書士、Web制作会社などとの連携も必要になるため、人選やコミュニケーションの手間も増える点に注意が必要です。

    最初はすべてを自分で経験してみることで経営スキルが身につきますが、無理をして体調を崩したり、ミスが多発することのないよう、適切に業務を整理し、外部の力も上手に取り入れていくことが重要です。

    不動産業で独立開業するための方法は3つ

    不動産業で独立開業するための方法は3つ

    不動産業で独立を目指す場合、そのスタイルにはいくつかの選択肢があります。どの方法を選ぶかによって、初期投資の規模やリスク、自由度、サポート体制が大きく異なります。ここでは代表的な3つの独立方法について詳しくご紹介します。

    比較項目 完全独立型 フランチャイズ エージェント
    初期費用 中〜高
    自由度
    サポート なし
    こんな方におすすめ 経験・人脈が豊富で、完全に自分の裁量で進めたい方 未経験者や、ブランド力を活かして始めたい方 予算をかけず、低リスクで始めたい、営業に集中したい方

    それぞれについて、以下で詳しく見ていきましょう。

    ①完全独立型

    完全独立型は、すべての業務を自らの責任で進めるスタイルです。事務所の設立から宅建業免許の取得、営業・集客・契約・顧客対応に至るまで、すべてを自力で運営します。そのため、自由度が非常に高く、自分の裁量で事業を展開できるのが最大の魅力です。

    一方で、リスクや責任もすべて自分で負う必要があります。初期費用として数百万円規模の開業資金を要するケースもあり、資金繰りや集客の課題に直面しやすいのも事実です。また、顧客基盤や営業ノウハウが不足していると、立ち上げ直後に売上が立たず、経営が不安定になるリスクも高まります。

    そのため、完全独立型は「不動産営業として実績があり、一定の顧客ネットワークや経営経験がある人」に向いている方法といえるでしょう。長期的に自社ブランドを育てていきたい方、他者に縛られず自分の理念でビジネスを進めたい方におすすめです。

    ②フランチャイズ加盟型

    大手不動産会社のフランチャイズに加盟して開業する方法もあります。自社ブランドを一から構築する必要がなく、すでに確立された知名度や信頼性を活用できるのが最大の魅力です。ロゴ・店舗デザイン・広告テンプレートなどのマーケティング資源に加え、業務マニュアルや営業支援ツールの提供、研修制度なども整っているため、初心者でも比較的スムーズに事業をスタートできます。

    ただし、加盟時には加盟金や保証金が必要となるほか、売上の一部をロイヤリティとして支払う必要があります。また、営業方法や取扱い商材などに一定の制約がある場合も多く、自分の裁量で動きづらいケースもあるため、独立後に自由に事業展開したい人にとっては窮屈に感じられることもあるでしょう。

    そのため、フランチャイズ型は「知名度やサポート体制を活かして安定的に運営したい人」「業界未経験で一から学びながら始めたい人」に特に適したスタイルです。

    ③不動産エージェント提携型

    近年注目を集めているのが、FINSTAR AGENTのような営業支援型エージェントサービスとの提携型です。不動産会社に所属せずにフリーランスとして活動しながら、案件紹介や契約事務のサポートを受けられる仕組みが整っています。

    このスタイルの最大のメリットは、初期費用や運営コストを大幅に抑えられること。事務所やスタッフを持たずに独立できるため、リスクを最小限にしつつ早期に報酬を得ることが可能です。また、バックオフィス業務の支援を受けることで、営業活動に集中しやすい環境が整っています。

    さらに、多くのエージェントサービスでは教育コンテンツや営業ツール、マーケティング支援なども提供しており、未経験者やスキルに自信がない人でも安心して始められる体制が整っています。独立後もコミュニティやフィードバック体制があるため、継続的なスキルアップやモチベーション維持にもつながります。

    「独立はしたいけれど、いきなり全てを一人で背負うのは不安」という方にとって、不動産エージェント提携型は非常に有効な選択肢となるでしょう。

    不動産エージェントについて詳しく知りたい方は、こちらの記事もご覧ください。
    不動産エージェントの現実。実際に稼げる?厳しい?事例などから徹底検証

    不動産業で独立するリスクと回避方法

    不動産業で独立するリスクと回避方法

    不動産業での独立には、以下のようなさまざまなリスクが伴います。

  • 事業環境のリスク
  • 経営・運営のリスク
  • 信用・責任のリスク
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    以下では、これらの主要なリスクと回避方法について解説します。事前に対策を講じなければ事業継続が困難になる可能性もあるため、独立前にチェックしておきましょう。

    ①事業環境のリスク

    不動産市場は景気や金利、不動産価格の変動に大きく影響されるというリスクがあります。たとえば、金利上昇により住宅ローンの借入希望者が減少したり、地価の高騰で物件の動きが鈍るケースもあります。

    こうしたリスクを回避するには、特定の取引スタイルに偏らず、賃貸・売買・管理といった複数の収益源を確保することが有効です。また、地域やターゲット層を分散させることで、市場変動の影響を抑えることができます。

    ②経営・運営のリスク

    売上が安定しない初期段階では、資金繰りが厳しくなるケースが少なくありません。必要経費が固定化している一方で、成約件数が安定しないと、運転資金が不足し倒産のリスクを招く可能性もあります。

    このリスクに備えるには、最低6か月分の運転資金を確保しておくことが重要です。また、日頃から支出を見直し、固定費を最小限に抑える工夫や、資金調達手段(融資・補助金など)の事前準備も必要です。

    さらに、業務量の多さや業務範囲の広さによって自身のキャパシティを超え、営業・事務・経理・法務などを抱え込みすぎることも経営リスクとなります。業務の一部を外注したり、効率化ツールを導入することも検討しましょう。

    ③信用・責任のリスク

    不動産取引は高額かつ法的責任が伴う業務であり、一度のトラブルが致命的な信用失墜につながる可能性もあります。契約書の不備や説明不足によるトラブル、重要事項説明における誤りなど、損害賠償を求められるケースも少なくありません。

    これらのリスクを回避するためには、常に最新の法律・業界知識を学ぶ姿勢が求められます。また、取引時の説明や書面作成は慎重に行い、必要に応じて専門家のチェックやサポートを活用することが望ましいです。

    不動産業は信頼のビジネスです。小さなミスや不誠実な対応が命取りになりかねないため、誠実な対応と正確な業務遂行を徹底しましょう。

    まとめ

    不動産業の独立は、自由度が高く、成果次第で高収入を狙える一方、営業・集客・契約などを自力でこなす必要があります。準備不足や誤った判断は失敗につながるため、十分な情報収集と戦略が不可欠です。

    特に営業に不安がある方や人脈が少ない方は、エージェント型独立を検討するのがおすすめです。FINSTARのようなエージェント支援サービスを活用すれば、初期費用を抑えて独立しやすく、契約・顧客紹介といった面でも心強いサポートが得られます。

    FINSTAR AGENTでは、業界未経験者でも安心して独立できるよう、エージェントへの報酬を最大化することが可能な体制を整えています。さらに、コミュニティによる横のつながりや定期的な業務サポート体制もあるため、一人で悩まずに事業を進められるのも魅力です。

    不動産業で独立をお考えの方は、ぜひFINSTAR AGENTにご相談ください。
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